第3話

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   背後でドサッという音がしたけど、どうでもいい。  僕は、窓の近くでぐったりと横になっているアゲハに駆け寄った。 「アゲハ!?」  身体を揺さぶっても反応がない。  身体が熱い。頬が紅い。半分開いた口で、浅い呼吸をしている。  部屋が暑い。窓は開いたままだし、エアコンはもちろん動いていない。  なんでだ!?教えたのに! 「アゲハ。ねぇ、アゲハ!」  激しく揺さぶっても、やはり反応がない。  どうしよう、どうしよう!  病院?ダメだ、連れていけるわけない。  僕がなんとかしないと。  落ち着け。  この部屋の状況だ、きっと暑さにやられたんだろう。まずは身体を冷やそう。  アゲハの背中と両膝の下に腕を差し入れ、持ち上げてベッドに運ぶ。そして、エアコンの電源を入れ、窓を閉める。  えっと、次は。  僕はキッチンに行くと、調理用のボウルを取り出して、そこに冷凍庫から出した氷をぶちまけた。蛇口を捻り、氷水を創ると、ハンドタオルを浸す。ベッド脇に戻ると、絞ったハンドタオルをアゲハのおでこにのせた。  アゲハの頬はもちろんまだ紅いまま。  これじゃまだ足りない。
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