第3話

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 そういえば、熱を冷ますために脇を冷やしているのを見たことがある。  思いついた僕は、キッチンに走り、冷凍庫から保冷剤をあるだけ取り出す。一つずつ、乾いたハンドタオルで包み、またアゲハの傍にとって返すと、左右の脇に保冷剤を挟ませた。  一つ残った保冷剤をどうしようかと考え、首の下に入れることにした。子供の時、母親に「暑いなら首の下に入れなさい」って渡されたことを思い出したから。  一応、思いつく限りの処置はした。 「はぁーーーーー」  盛大にこぼれるため息。  僕は、張り詰めていたものが切れたように、立てていた膝を折り、ベッド脇にぺたんと座りこんだ。  折り曲げた両腕をベッドに起き、頭を預ける。  あぁ、もうほんと、焦った。 「なんで、こんなことになったんだ……?」  とりあえず、アゲハが目を覚ますのを待つしかない。  早く、目を覚ましてくれ。
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