第1話

別れは唐突に

なにを言っているのだろうか。

私より大事な人ってなに。

弱い？

私から透哉を奪う人が弱いわけない。

相手の女の子を攻め立てる言葉が頭の中をぐるぐると回る。

「本当にごめん」

だけど何を言っても覆ることがなさそうなこの現実を私は受け止めるしかなさそうだ。

大好きな彼が、透哉が私を強いと言うならば強い女で終わらそうじゃないか。

「分かった。彼女のこと、幸せにしてあげるんだよ」

涙がこぼれ落ちそうになるのを堪え、引き攣ってしまったかもしれない笑顔を浮かべ私は別れを承諾した。