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自信満々だった女の顔が驚愕した表情に変わる。
「まさか、この拘束具か牢屋自体に魔力封印が…。」
「その通りだ。俺は臆病なんでな。」
なにせ最初は【チキン】の称号さえ貰っていたのだw
そしてその通りだと答えたが牢屋には何もないとは伝えない。
俺が話し、思考中にも女の表情はめまぐるしく変わる。
落胆、怒り、恐怖、なかなか面白い。
俺はこんなキャラだっただろうか。
少し疲れているのかもな。
と纏めた所で女に話し出す。
「さて、不法侵入したからにはお前の生殺与奪の権利は俺にある。」
あえて上から目線で、しかもそんな権利はこの国の法律にはないがそう言っておく。
「とりあえず聞いておこうか。お前は一人で行動していたのか?」
「仲間がいる…今夜戻らなければ仲間がやってくる。といったらどうする?」
少しでも逃走できる可能性を増やそうとしているのか少し強気に女が答えた。
「別に…ここの事を上手く言い訳させる装備でもつけさせて外に出せばいいだけだ。なにせ俺は錬金術師だからな、簡単に造れる。」
…そんなものはない!造れない!
しかしこの言葉は意外にも女に効いたようだ。
「く、たしかにこの拘束具と牢屋を見たらそれも可能なのだろうな…本当のことを言おう、一人でダンジョン攻略をしていた。
ここもたまたま近くに来て噂を聞き入ってきただけだ。上のゴーレムの性能もちゃんと理解した上でだ。」
なんと、こんなにスラスラと聞いてもいないことも喋りだすとは。
しかしやはり疲れているんだろうか。余り頭が働かない。
「ふむ、まぁいい。今日のところはそのまま牢屋に居てもらおうか。明日また話を聞こう。
…ところで腹は減っているか?」
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