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部屋に戻りシャドウアイの映像とサブコアを見つめる。
どうやらランク10の侵入者は簡易的な防具を身につけ剣を腰につけた男の冒険者のようだが攻撃してくる様子はなさそうだった。
客として来たかと思ったが、ランク10の人間である、一般に英雄や勇者などと呼ばれる存在だ。気は抜けない。
すると侵入者の男は警戒する(表情や仕草には出していないが)メルフィに話しかけているようだった。
するとメルフィがコアを経由した念話で語りかけてきた。
《マサさん、映像見てますか?》
《あぁ、見ている、その男は?》
念話とは声に出さなくても距離が離れていても話が出来る。
そして魔法で使うことも出来るのだがかなり高度な魔法で、更に両者がその魔法を使えないと会話できない欠点も存在する。
当然俺の魔法技術では無理なのでコアを経由したのである。
《王国からの使者ということでマサさんと話がしたいということです》
王国からの使者だと…
錬金術の噂を聞きつけ依頼などにきたかここがダンジョンだとばれたかのどちらかだろう。
若しくは昨日の侵入者の仲間か…
噂を聞いて依頼に来たことを祈りメルフィに質問をする。
《話の具体的な内容は何か言っているか?》
《いえ、直接店の主人であるマサさんに話すとの一点張りで…》
ここは慎重にならねばならない。
店にはまだ一般の客もいるため攻撃しようものなら殺されるのはこちらだろう。
種族による差はあるだろうがメルフィと同じランク、戦えばメルフィもただでは済まない上に国全体が敵に回るだろう。
といってもこちらに害をなさないものにむやみに攻撃することは躊躇われる。
だが会いに行って俺が殺されても順序が変わるだけで結果はかわらない。
かといって会わなければ難癖をつけられダンジョンだと露見する確率も上がる。
会って殺されないことを今まで信じてもいなかった神に祈りながら使者に会いにいくしか選択肢はないだろう。
現状では結果は変えられそうにないのだから…
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