3618人が本棚に入れています
本棚に追加
応接室に入り緋野をソファへと進め俺は飲み物の準備をした。
「緋野様、お名前から察するにジポングの方ですか?紅茶と緑茶どちらがよろしいでしょうか。」
「ジポングのことご存知ですか。生まれがジポングでしてね。それでは緑茶でお願いします。」
すでに水面下での心理戦は始まっていそうだ。
「知識としてだけですが…知識を得るのが好きでして。」
火魔法によって沸かしたお湯を急須に注ぎ湯呑みに注ぐ。
「粗茶ですが…」
と茶請けと共にだした。
「ありがとうございます。」
一口口をつけた後此方から切り出した。
「それで今回のことですが、先にゴーレムの問題のほうから話をさせて頂いてよろしいでしょうか。」
軽い先制パンチ。
「もちろん、どちらが先でも構いません。」
相手は全くの余裕そうだ。
というかこっちが勝手に思っているだけで心理戦にもなっていないのか?
「まず侵入者並びに店員に手を出そうとした者への対処ですが、こちらに非があることは分かっております。
ですが、あの娘は住み込みで働いてくれていて家族同然なのです。
緋野様にご兄弟がいらっしゃるかは存じませんが、家族に手を出されようとしてそれを見過ごすことなど私にはできません。
それ故の処置です。
…まぁやり過ぎたのは素直に認めます。」
こちらの言い分をひたすら言って相手の様子を伺ってみた。
「ふむ、私には兄弟はおりませんが、理解はできます。
この件に関しては王国からの要請…というか強制的なものですが、不法侵入者に関しての対応は少々問題はあるが容認する、と。
ただし、外に裸で埋めるまではなんとか認めますが、その後村長もしくは近くの街の警備隊に報告をすること、とのことです。
そのままにしていたことが問題になっていますので。」
正論だ、ぐぅの音も出ないほどだ。
最初のコメントを投稿しよう!