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「天河星影(あまかわほしかげ)です。」
「月村和泉(つきむらいずみ)だよ。よろしくね。」
少し父さんに似ていると思った。
微笑った顔が、ほんの少しだけ。
オレより頭一つ分高い背から見下ろされてそう思う。
先輩のポケットの携帯が鳴った。
画面を見ると、ちょっと眉をひそめて言った。
「ごめん。ちょっと待って?」
オレが頷くと電話に出た。
柔らかな声で電話の相手と話す。
彼女とらしい会話が始まる。
オレは大きなバックを下に置くと、周りを見回した。
2段のベッド。
小さなキッチンにユニットバス。
フローリングの床にラグが敷いてあって、テーブルが置いてある。
2つの机。窓側の机には何もない。ベッド側の机には先輩の私物がある。ノートパソコン、教科書、CDが数枚。
何が趣味なのか、先輩を示すものはない。
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