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「七瀬くん、いい加減にしてください。私は入学式が終わる前に落とし物を見つけなくてはならないのです。あなたと無駄な時間を過ごしている暇などないんです。」
どうにかして抜け出さないとと焦る気持ちが表に出始め早口で辛辣な言葉を弥尋に放ち。
しかし、それでもへらりとした表情を崩さない彼は片手で桜音を抱きしめ、もう片方の手をブレザーのポケットへと入れてはごそごそと何かを探りだして。
人の話を聞かない弥尋に対して苛つきを隠せず勢いよく振り向いた
「聞いてるんですかっ、七瀬くん!」
「そんなに大きな声出さなくても聞こえてるよー。ちょっと、待ってね。…あ、あった。」
そういって、ブレザーの中から何かを取っては桜音へ見せた
「これでしょー、その例の落とし物って。」
「な、なんで…。」
「あれ、気づかなかった?桜音ちゃんがこれを落とした子と話していた時、僕すぐ後ろにいたんだけどなぁ。」
「気付かなかった…」
「さすがにちょっと傷つくよ、桜音ちゃん。…あー、それで女の子伝いに情報を集めて、見つけたんだよ。」
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