第26話

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このまま渚が帰らなければいいのに。 小さい頃に好きな従兄弟のお兄ちゃんとまだまだ遊んでいたくて駄々をこねていた。 そんな子供時代と同じような感情を抱く。 最初は、話してみたい。 今度は、会いたい。 そして、この子と付き合いたい。 もっと抱きしめたい。 ずっとそばにいてほしい。 どんどん欲張りになっていく。 それは相手が渚だから思うのであって、そんな自分も案外嫌いではない。 玄関先で、帰っていく渚を見送る。 「また会いに行くよ」 「うん」 抱きしめたら離したくなくなるのが目に見えている。 それでも、しばらくのお別れのハグをそっとしてすぐに離した。 「お仕事頑張ってね」 笑顔を見せた渚は、そう言ってドアを閉めた。 案外、あっさりとしている。 やっぱり女性の方がたくましいな。 小さく笑いを噛み殺して、靴を履いた。 今日もスケジュールが詰まった長い1日が始まる。 渚の笑顔を思い浮かべながら仕事へと向かった。
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