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そこらを回っていたつもりだったが、いつの間にかついてしまっていたらしい。
ふと、男はさっきよりも騒音に近づいたように感じた。
「この辺がうるせぇと思ったら、ここに虫でもたかったかな。確か柿でもあったし、落ちた実でも食いに来たか」
どうやら謎を解けたような気になって、口元がほころぶ。
どうせならどのくらいたかっているか気になって、朽ちかけた鳥居越しに覗き込んだ。
途端に、羽音が大きくなる。蜂のような低い音、いや蜂よりも重苦しい音だ。
「なんだ蜂か?俺の事見て怒ってんのか。いや、こんな時期に蜂がいるはずもない……」
男の小さな声でさえ聞き咎めたように、さらに羽音が大きく、多くなる。
男は面食らって後ずさりした。
「下手に手ぇ出すのもよくねえよな。帰ろう帰ろう……」
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