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「帰らせねえよ」
若い男の攻撃的な口調に嘲笑しているような色が浮かぶ。
「むしろ、我が家に帰れるなんて思われたら笑うけどな」
そう言うなり、声を上げて笑い出した。
それに呼応するかのように、消えていた羽音が一気に蘇る。
音の主であり、光源を塞いでいた、通常よりも遥かに大きく、そして黒い虫達が獲物へにじり寄る。
それを見て、ぼんやりと周りを見回していた男がようやく悲鳴をあげた。
しかし、その声もかき消され、誰にも聞かれることは無かった。
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