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「余裕あるから大丈夫みたいだなテル・・・昨日のことがあるから、気になってな」
余裕があるから大丈夫だと言ってもらったのだが、すぐに返事は出来ず、しばらく答えを探すように空を眺めていたが、まともな答えは出てこなかった。
「あぁ・・・その話は無しにしよう。今日はテストだから切り替えろよ。班長命令だ」
すこし威張って言ってみたが、それすらヒロには効果がない。
「分かってるよ!テストに合格しなきゃな!班長が不合格はありえんぞ」
「おうよ!その通り!いつまでも2班じゃいられねぇ!」
「お!気合い入ってんな」
「当たり前だ!勝つためには、まずは気合いだ!」
「勝つって?」
「は?誰にも負けねぇってことだ」
「それって、和木さん意識しすぎだろ?・・・気にしすぎ」
「何でそうなる?」
「結局は、紗江を振り向かせたい。そうだろ?」
話が逸れてるんだバカヤロウ!と言ってやろうと思った矢先、紗江の名前を出され、不甲斐なくも動揺してしまった。
「ば、な、何を言ってんだ!ただ一番上手い奴になりたいってだけだ。紗江は関係ねぇ」
力説する俺の熱い思いなど届かない。
ニヤッと笑ったヒロ。
「へぇ~・・・・・・え~、頑張るんだよぃ多田!」
その何でも分かっているみたいなヒロの表情と言い方にイラっとした。
どっちが班長で、班を取り仕切っているのか分からん。
いつもヒロにペースを持っていかれる。
けど、朝から不機嫌にさせても面倒なので、鬼瓦のおっさんの真似をして誤魔化した。
「うるせっ!頑張ってるよぃ!やるんだよぃ!」
「おっ!気合いれた」
スキーの話か、紗江の話か、どっちつかずの話をしていると、すぐに山頂に到着。
リフトから降りて、鬼瓦のおっさんから指定されたコースへ着いた。
「嫌がらせか?あの馬鹿監督」
つい口に出してしまった。
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