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ゆうりside
いつからだっけ?りょうがこんな風になってしまったのは。
「どうしてご飯食べてくれないの?」
柱から首に繋がった首輪に、両手を前で塞ぐ手錠。首輪はきつく絞められ、呼吸をするのも少し苦しいくらい。
「ごめ、なさっ…食べる、食べるからっ…」
「俺の作った飯はそんなに不味いのかよっ!!」
りょうの大きな拳が、僕の頬に当たる。口の中に広がる血の味。痛くて、痛くて、涙が零れ落ちる。
「今週は、学校行かせないから…」
「えっ、で、でもっ…!」
「胃腸炎だって、俺が先生に言っとく…分かった?」
りょうの目が、僕を捉えた。殺意に芽生えたその瞳。ここで拒否をしたら、殺される。
「わか、り…ました…」
「いい子だね…ゆうり…」
チュッとキスを落とされた後に、りょうは僕を包み込む。
「好きだよ、ゆうり」
「ん…僕も…大好き…」
どっちが本当のりょうなのか、未だに分からない。
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