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桐下が何かを叫ぶ。でも俺は、目の前で起こっていることが理解できず、ただ困惑し、立ち竦むことしか出来なかった。
男は男性の方を振り向くと、手刀で男性の腹部を突き刺す。そして、男性の腹部から命の灯とも思える炎を掴みだすと、それを巨大な鎌へと変換させたのだ。
――「消される」
そう直感した。
そして、一瞬の出来事だった。男の姿が目の前からパッと消える。そして気づいた時には背後を取られていた。巨大な鎌を喉元に当てられ、動きを止められる。徐々に刃が食い込み、激痛が走る。
――俺……また死ぬのか……?
――そんなの嫌だっ!!
――俺は……!!
「天城くんっ!!逃げて!!」
桐下の声で我に返る。気が付くと、桐下が男の腕にしがみ付き、俺は鎌の刃から解放されていた。
「この、アマが!!」
男が桐下を振り払い、桐下の体が歩道橋の手擦りに強打する。
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