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――どうする……どうすればいい!!
そのとき、後方からこの場所に上ってくる一人の女性に気が付いた。
ここからは、無意識に体が動いた―――。
――「グサッ」
生暖かい感触が、触覚を刺激する。
肉を切り裂き、臓器を破壊する感覚―――。
本当に無意識だった。無意識に俺は……人の命を奪ったのだ。
俺は腕を引き抜くと同時に、女性の魂を剣の姿に変換させる。
俺は悪くない……悪くない筈だ……だって仕方がない……仕方がなったんだ……そう自分に言い聞かせ、自分を正当化させようとする。
――俺は罪を犯した。
そしてこれが、本当のはじまりだった。
生き残りを賭けたデスゲームの……。
手にした剣を構え、勢いよく踏み込む。不意を突かれた男は「グっ」と小さい呻きを発し、鎌で防御の姿勢を取ろうとする。しかし、俺はそれより早く0距離まで間合いを詰め、剣を振りかざす。
「ザンッ……」という静音は、すぐに車の音でかき消され、男の体から吹き出す鮮血だけが、非日常な戦いの終わりを告げる。
「これ……で……お前…も……同類……だ」
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