四次元パラドックスⅠ―争奪戦編―

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1   人は死ぬ――。 どんなに富を得ても、名声を得ても――人は、死ぬ。 ――そして、次の次元へと進むのだ。 俺は死んだ。糞みたいな人生だったのだけは覚えている。でも、どうして、どうやって死んだのか思い出すことが出来ない。 事故死、自殺、惨殺、刺殺、焼殺、様々な死があるが、しっくりとくるものはない。 それでも……俺は死んだ。 それだけは変わることのない事実。 3次元――それは命の原型。つまり生命体である。 そして3次元は、死ぬことで3.5次元へと転生する。それは、世間一般的に言われる霊体と呼ばれる状態だ。 そして3.5次元達は、同時にある試練を受けることになる。 それがこのゲーム……。 自分の存在を賭け、四次元へと転生するための試練。 ――そのGAMEの名は「Abyss(アビス)ゲーム」 ――そして俺の止まってしまった時間が……ゆっくり音を立てて、動き出す。
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