四次元パラドックスⅠ―争奪戦編―

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2   「うぅ……うん?」 ぼやける視界は、白一色だった。俺は、重い体に活を入れて起き上がり、辺りを見回す。 そこは、白一色の何もない四畳半。訳も分からず、困惑した趣で出口を探す。しかし、出口らしきものは見つからない。 「なんなんだ、ここ……?」 発せられた声は虚しく、白一色の空間に消える。 そのとき、自分の着ている服に気が付く。それは、全身淡いオレンジ色の胴と脚が一体となったまるで「囚人服」のような趣味の悪い服。 「おいおい……これはねぇよ」 そのとき、部屋の壁に、何かが浮かび上がった。 ――おめでとうございます。 ――あなたは、第一試験をパスしました。これは、四次元への第一歩です。 試験?四次元?何を言っているんだ……? 俺は鼻で笑うと次々と現れる文字列を追う。
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