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「い、いやぁ……!!」
女性は俺の手を払いのけると、距離をとって俺を睨みつける。
「す、すみません!えっと、俺と同じ境遇の方なのかなぁと……」
そこまで言うと、俺は女性を改めて見る。そして自分が彼女を知っていることに気がつく。
彼女の名前は――桐下真美。
俺と同じ大学に通う女子大生で、入学当初から、美人で有名な大学キャンパスの女神様だ。いつも元気で明るく、誰にでも笑顔で手を振る美少女……。
しかし、今の彼女からは、いつもの生命力を感じられない。それどころか、弱々しく、今にも壊れてしまいそうな儚さすら感じられた。
「君、桐下さん……だよね?いきなりごめんね。俺は天城涼、一応同じ大学なんだけど……まぁ知らないよね、ははは」
俺は大学の女神様になんてことを……そんなことを思いながらも、苦笑いで誤魔化す。
「あ、あの……ご、ごめんなさい!わ、私……今すごく動揺してて……」
彼女はそう言うと、怯えた様子で謝罪をする。
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