四次元パラドックスⅠ―争奪戦編―

7/27

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「やっぱり、死んでいるんですね。私達……」 桐下は少し表情を曇らせると、下を向く。 「だ、大丈夫だよ。俺は君がここに居るって、分かってるから」 「天城くん……。ありがとう。」 少し気持ちを和らげることが出来たのか、桐下はにっこりと小さく微笑む。それでも、いつものような心からの笑顔ではないような気がした。 少し歩いて、俺達は近くのベンチに腰を下ろす。そして、ふと空を見たときに、何かが空に浮かんでいることに気が付いた。 「なんだ、あれ……砂時計?」 空に浮かぶ砂時計は、一定の量の砂を一定の時間で落としていく。そして、それが何を示しているのか、俺はすぐに察しがついた。 ――制限時間は360分。   つまりあれは――ゲーム終了までの時間。   桐下も俺の様子に気が付いて、空を見上げる。そして空に浮かぶ砂時計を視界にとらえると、真っ青な顔でそれを凝視した。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加