四次元パラドックスⅠ―争奪戦編―

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「やっぱり……あれで終わりじゃなかったんだ……」 桐下が何かを呟く。 しかし、俺はそれを聞き取ることが出来なかった。 「天城くん……」 「ん……なに?」 「急ご」  彼女はそう言うと、俺の腕を掴んで歩き出す。 「え、ちょっと、どこに!?」 彼女はその問いに答えず、ぐいぐいと俺の腕を引き続ける。 裏道を抜け、公園を抜け、商店街を抜ける……その間ずっと桐下は、何かを躍起になって探している風だった。 そして歩道橋を上った所で、桐下はピタッと止まった。 「あった……」 彼女の見つめる先に目を凝らす。 そこには、巨大なビルが建っていた。そして頂上に何かが輝いている。 「あれ……なんだ?」 「宝玉……行かなきゃ、誰かに取られる前に……」
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