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「やっぱり……あれで終わりじゃなかったんだ……」
桐下が何かを呟く。
しかし、俺はそれを聞き取ることが出来なかった。
「天城くん……」
「ん……なに?」
「急ご」
彼女はそう言うと、俺の腕を掴んで歩き出す。
「え、ちょっと、どこに!?」
彼女はその問いに答えず、ぐいぐいと俺の腕を引き続ける。
裏道を抜け、公園を抜け、商店街を抜ける……その間ずっと桐下は、何かを躍起になって探している風だった。
そして歩道橋を上った所で、桐下はピタッと止まった。
「あった……」
彼女の見つめる先に目を凝らす。
そこには、巨大なビルが建っていた。そして頂上に何かが輝いている。
「あれ……なんだ?」
「宝玉……行かなきゃ、誰かに取られる前に……」
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