その距離三十メートル

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「月野茜」 「普通です。」 高一にもなって朝のHRでこんな返事をさせられるなんて思ってもなかった。 その日の調子を言うっていう決まり。 担任の土屋先生の考案。 二十代後半男子は意外にも馬鹿? 調子のイイコは「絶好調」って答えたりする中。 私の返事はいつも「普通」。 最初は違和感たっぷりなこんな遣り取りにも、もうかなり慣れたけど。 私の気分はいつでも普通。 普通の顔に普通の体格そして性格。 普通の学校に普通の友達。 でも・・・・普通がいいよ、普通が。 「あっ。見て見て。 五十嵐軍団が来た。」 普通に高校で友達になった桜の視線の先には。 明らかに普通ではない、飛び抜けた人達による廊下の行進。 いつも男女七人連れだって行動している。 先頭を歩いているのが五十嵐煌生(こうき)。 身長は180センチあるかな。 長めの茶色い髪を後ろに流していて、キリっとした眼が一層際立ってる。 一年にしてこの存在感。 そして一人づつでも非凡な容姿にも拘らず、 それが七人揃ってるとなりゃ・・・。
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