その距離三十メートル

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学校中の誰もが注目するに決まっている。 軍団が廊下を歩くだけで、皆が教室から顔を出して。 通り過ぎるたび、黄色い声と甘い溜息が聞こえる。 その声は男子にだけ上がってるんじゃなくて。 一緒にいる女の子達にも寄せられていて。 そりゃそうだ。 三人共、その辺のモデルより可愛いんだもん。 周りの皆は羨望の眼差しで、通り過ぎるのを見ている。 「しっかし茜もずいぶん非凡な幼馴染を持ったもんだね。」 「そうだね。」 この質問、高校に入学してから何回もされて。 今ではすっかり慣れっこ。 そりゃ皆ビックリするよね。 こんな普通の私とあんなスーパーな煌生が幼馴染なんて。 私に言わせりゃ、ただ単に家が隣同士なだけなんだけど。 私の部屋の窓を開ければ、すぐ目の前に煌生の部屋の窓があって。 その距離わずか一メートル。 昔から、玄関を使わず窓から出入りしている。 だって、イチイチ回るの面倒なんだもん。
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