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気にしたって仕方ないし、さくらさんだって辛い思いを抱えているって分かっているけど。
やっと少しだけ縮まった距離が、また元に戻ってしまいそうで怖い。
相模くんが手の届かないところに行ってしまいそうで怖い。
「…三上」
家庭科室から残りの材料を全て持ち出して教室に戻る途中、仁科先生に呼び止められた。
「あ、…」
先生とのこと、ちゃんとしたい。
相模くんに迷惑かけたくない。
先生も、私と話をしたいようで、
「佐藤。ちょっと三上に話があるから、…」
申し訳なさそうに梢を見る。
相模くんを殴ったという噂をもちろん知っている梢が、心配そうに私を見るから、大丈夫って頷いた。
「先に戻ってるね」
励ますように笑いかけてから、梢が立ち去った。
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