First.23

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「…さな」 相模くんが私の両頬を手のひらで包んで、滑らかにキスを返してくれた。 幸せすぎて泣きそう。 大好き。 このまま、ずっとこのまま。 私だけにこんなキスをしてくれたらいいのに。 …大好き。 相模くんは私を片腕に抱きかかえたまま、給水タンクから降りた。 屋上に通じるドアを出てから私を降ろし、ポケットから取り出した鍵をかける。 …なんで屋上の鍵、持ってるんだろう。 疑問に思わなくもないけど、美術準備室を私有化しているくらいだから、こういうことも出来るのかも。 なんとなく、先生たちが気の毒な気もしなくもない。 でも。 そんな相模くんを殴った仁科先生は。 そんな相模くんがおとなしく殴られたのは。 …理由があった?
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