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「…さな」
相模くんが私の両頬を手のひらで包んで、滑らかにキスを返してくれた。
幸せすぎて泣きそう。
大好き。
このまま、ずっとこのまま。
私だけにこんなキスをしてくれたらいいのに。
…大好き。
相模くんは私を片腕に抱きかかえたまま、給水タンクから降りた。
屋上に通じるドアを出てから私を降ろし、ポケットから取り出した鍵をかける。
…なんで屋上の鍵、持ってるんだろう。
疑問に思わなくもないけど、美術準備室を私有化しているくらいだから、こういうことも出来るのかも。
なんとなく、先生たちが気の毒な気もしなくもない。
でも。
そんな相模くんを殴った仁科先生は。
そんな相模くんがおとなしく殴られたのは。
…理由があった?
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