355人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
さりげなく、相模くんを見上げてみても、ポーカーフェイスで考えは読めない。
久世くんが叫んだ時は少しだけ顔をしかめて、
「覚えてろよ」
小さくつぶやいていたけれど。
その後もずっと、手はつながれたままだ。
こんなの。
期待してしまう。
私のこと、噂されてもいいんだって。
好きって言ったこと、受け止めてくれたんだって。
好きでいて、いいんだって。
つないだ手はすっかり熱を帯びていたけれど、離したくなかった。
出来ることなら、このまま一生、離したくない。
手に力を込めると、軽く握り返してくれた。
どうかこのまま。
どこにも行かないで。
沙羅さんのところに。
行かないで。
最初のコメントを投稿しよう!