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「さ、がみ、くん、…」
恥ずかしくていたたまれなくて、どうしていいか分からずに相模くんを見ると、
「なんだ?」
ほんの少し瞳に面白そうな光を瞬かせながらも、優しい顔を向けてくれた。
周囲からどよめきとため息がもれる。
…めまいがする。
相模くんが甘い。
「働いてこい」
相模くんが私の頭に手を置くと、軽く弾ませた。
「…うん」
何とかクラスの出し物に気持ちを戻しかけた時、廊下の方から激しいざわめきが聞こえてきた。
何だろう? と思う間もなく、
「…群星っっ!」
教室の入口から、女の人が弾丸のようにまっすぐに、相模くんの元に飛び込んできた。
長い手脚、整ったスタイル、なびく茶色の髪。
…さくらさん。
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