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相模くんの腫れた唇の端を思い出す。
相模くんは私のせいでそんな目にあって、
あのきれいな顔に傷跡を残した。
申し訳なくて、いたたまれないけど、先生のことも責める気にはなれなかった。
「相模、…なんにも反撃しなかった。言い訳も」
顔を上げると、優しい目で、先生が私を見ていた。
「…分かってる、って、言ってたよ」
分かってる?
「いろいろ悪あがきしたけど、…三上のこと、ちゃんと諦めるから」
先生は、何かを吹っ切ったように、爽やかな顔をしていた。
「相模と、…仲良くな」
私の頭に手を伸ばすと、ポンと軽くバウンドさせた。
「…先生」
結局。
私は先生に何も出来なくて。
何も言えなくて。
ただ、ひどく傷つけただけ。
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