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「ごめんなさい。…ありがとう」
余りあるほどの想いをもらって、大切に大切にしてもらって、…なんにも返せなかったな。
なんだか泣きたい気持ちだった。
先生が優しく髪をなでた時、何の前触れもなく、唐突に準備室のドアが開いた。
振り向くと、
…え?
「…泣かされてんじゃねえよ」
相模くんが入ってきて、私を隠すように抱き上げた。
…え?
突然包まれた、相模くんの胸の中。
温かくて、嬉しくて、胸の奥がギュってなる。
「…大事にしろよ」
後ろから先生の声が聞こえてきた。
相模くんは私を抱きかかえたまま、
「るせ、…」
小さくつぶやいて、生物準備室を出た。
よく分からないまま、相模くんに担がれていたけれど、にわかに大注目を浴びていることに気づいた。
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