First.25

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「分かんねえ? さな。お前だけだ」 相模くんの低い声が甘く告げた。 「お前以外に、欲しいものなんかねえ」 …夢? 夢かな? 相模くんがこんなこと言ってくれるなんて。 瞬いたまつ毛から涙が落ちる。 「さ、がみ、くん…」 相模くん。 相模くん。 言葉に出来ない。 心臓が狂ったように鳴り出し、身体が震える。 「さな…」 少し照れたようにも見える相模くんが、強く強く私を抱きしめてくれた。 この温もりも、匂いも、全部、大好き。 相模くんが大好き。 ずっと、不安だった。 相模くんには、他に好きな人がいるって。 だけど。 抱きしめてくれる腕も、温かい胸も、向けられる眼差しも、甘いキスも。 全部、私にくれるなら。 「大好き。大好き…」 馬鹿みたいに繰り返して相模くんにしがみついた。 私を抱きしめながら、相模くんが耳元で囁く。 「…初恋だから」
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