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「分かんねえ? さな。お前だけだ」
相模くんの低い声が甘く告げた。
「お前以外に、欲しいものなんかねえ」
…夢?
夢かな?
相模くんがこんなこと言ってくれるなんて。
瞬いたまつ毛から涙が落ちる。
「さ、がみ、くん…」
相模くん。
相模くん。
言葉に出来ない。
心臓が狂ったように鳴り出し、身体が震える。
「さな…」
少し照れたようにも見える相模くんが、強く強く私を抱きしめてくれた。
この温もりも、匂いも、全部、大好き。
相模くんが大好き。
ずっと、不安だった。
相模くんには、他に好きな人がいるって。
だけど。
抱きしめてくれる腕も、温かい胸も、向けられる眼差しも、甘いキスも。
全部、私にくれるなら。
「大好き。大好き…」
馬鹿みたいに繰り返して相模くんにしがみついた。
私を抱きしめながら、相模くんが耳元で囁く。
「…初恋だから」
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