昼下がりの身勝手

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スラッとした長身と、涼しげな目元が印象的な今時の男の子。 予想するに、20歳前後。 軽く見積もっても、私とは10近く年が離れている。 「あっ、すみません。違いでした」 申し訳なさそうに頭を下げられたから、「いえ……」と戸惑いながらも、首を横に振った。 「後ろ姿が余りにも似ていたので」 「……」 「安野先生は中学の時の担任で、優しくて綺麗な人でした」 自分が言われている訳じゃないのに、カッと頬が熱くなって心が躍り出す。 何を舞い上がっているんだろうと、冷静な自分が横やりを入れても収まりそうにない高揚。 「こんな所に先生がいるはずもないのに」 男の子は悔しそうなしそうな表情を浮かべる。 そんな彼を見ていると何にも関係ないのに、申し訳なくなってしまう。 彼にこんな表情をさせてしまって辛い。 どうしてここにいるのが私なのだろう。 私じゃなく、安野先生ならよかったのに。 ううん、私が安野先生なら良かったのに。 意味のない後悔が、やけに胸を締め付ける。
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