昼下がりの身勝手

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少し横に視線を向けると、可愛らしい寝顔のリンが見えた。 リン、リン、リン。 私はあなたの為ならなんだって出来るよ。 あなたの為なら、なんだって。 リンの為。 家族の為。 今を守る為。 不快しか感じない時間を耐えるために、必死に目を閉じて静かに時が過ぎるのを待った。 これは義務じゃない。 拷問だ。 感情の全てを置き去りにされた、ただの辱め。 「春花、いいよ」 真上で律動を繰り返す影を、薄めを開けて見上げる。 なんて滑稽で馬鹿らしく、空しい時間だろう。 今、ここには愛も情も存在しない。 夫の動きが速まるのに合わせて、ギュッときつく目を閉じる。 暗闇の中見えたのは、私の手を取る誰かの手。 しなやかで、筋張っている指。 若々しく、ハリのある皮膚。 きっと、祐一君だ。 彼が私を迎えに来たんだ。 そんな妄想をしながら、30分弱の短くも長い拷問を耐えきった。
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