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「ただいま」
扉を開けて一番にそう言うと、キッチンのある場所からひょっこり顔を出し、パタパタとスリッパの音を立てながら近付いてくる――妻、もとい琴音。
こういう些細な出来事に、僕は幸福を感じる。
家に帰って、当たり前に灯りが点いている。
夕ご飯の支度がされている。
お風呂が沸いている。
それの選択肢を用意してくれている妻がいる。
「おかえりなさい」
帰って一番に、愛する妻の笑顔が見られる。
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