ストライク

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「なに、どうしたの?」 「また詰まった。」 恋人はトイレの詰まりを直すベく、 スッポン、てやつどこだ?スッポン、てやつだよ、 と呟きながら部屋を回転していた。 仕事を欠勤してゲームに熱中している私は、特に返事もせず またテレビ画面に向き直った。 ゲーム内での迎撃の音に続いて、 スッポンは?スッポン?という合いの手が上手い具合にヒップホップのようで そのヒップホップアーティストのプロモーションビデオのなかで二人は、 窓から当たる西日にあぶり出されて 社会不適応者という文字をらんらんと背中に輝かせている。 ちらと恋人を眺めると、 彼の髭は 半端な長さで 伸びた先端が寝癖で折れ曲がり猫背をさらに強調させており、 河童のような風貌で スッポンスッポンと呟くのが大変滑稽だ。 そうだ明日職場に行って、この恋人の姿を 職場内で話したら みんな私の話に盛り上がってくれるかもしれないな。 と一瞬思ったが、 生憎面白可笑しく話せる能力を持ち合わせていないことを思い出し、諦めた。 それにしても滑稽。 彼も、そして私と彼の恋愛も 滑稽だ。
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