ストライク

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有りがちなロマンチックなドラマでは コーヒーの良い香りに包まれながら 恋が始まったりする。 カフェの店員である私、 カフェのマスターの知り合いだった彼、 徐々に距離を縮めていくふたり。 というような。 私の友達カップルの出会いも 学校の教員と生徒、というこれまた典型的に素敵な恋愛の始まり方であったし、 恋愛というのは背景と設定にロマンがあるのだと思う。 私の恋だって、 背景を隠せばそれなりだ。 でも、 消費者金融で働く自分と その消費者金融から借りた額、そして現在の借金残高が全国トップの彼はなんと この街一番、格段に安いボロアパートの隣人同士だった!! こんなあらすじの小説だったら。 誰が共感するだろう、 誰が読むだろうか、 物好きでない限りは、 一目見て本棚に戻すだろう。 けれど私にとっては、 特別になりたい私には、 好条件であった。
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