ストライク

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他人の悪口と恋路には鼻が効くが、 自分の話を相手が聞いているかいないか、そういうことには感づかないサンちゃん先輩だから こんな空笑いも素でスルーしてくれる。 ちなみにボーリンというのは 私のミドルネームでもなんでもない。 『人との会話はキャッチボールだからー。 一方通行で会話が成立しないのはぁ、ボーリングなの!』 その、ボーリング、から取って、 ボーリン、と命名したのはサンちゃん先輩。 …命名というより、つけやがった、 て方が正しいな。 にやりと笑うサンちゃん先輩は、可愛いげのある一般人をきどった妖怪だ。 妖怪の言うことは 人間よりなかなか的を得てる。 人と接する瞬間の私は確かに 常にストライクをたたき出してしまっているからだ。 陰口、ノロケ…どんな会話もぶち壊して、 ピンになった他人が転がるのを見てるような、そんな。 私もある意味、そんな妖怪に違いない。 女は妖怪だ。
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