0人が本棚に入れています
本棚に追加
「一時限目は体育だ!!早く着替えろよ!!!」
隣の教室にも聞こえる程大きな声で言う岩体の声は喋るというより叫ぶに近い程の音量だった。
優はそんな岩体を見てふと思う。何故か今日は機嫌が良いと。
いつもの岩体はこんな大きな声で叫ぶのではなく、不機嫌に思える程暗く、まるでヤクザの幹部のような人だというのに何故こんなにもご機嫌なのだろうか。
朝の遅刻の件もそうだ。
いつもなら遅刻した者には学校全体に聞こえる程大きな叫び声で怒る基地外地味た人間だ。
いつもなら朝早く学校に着いてる優からすればそれはよく知っていた。
そして今日、優はそれを自らが体験する番だというのに怒ってくるのではなく、笑って見過ごしてくれた。
いつも遅刻しない優を見て、真面目と思っているから見過ごしのだろうか?
だが人を特別視しない性格の岩体に限ってそんな事はあり得ない。
やはり怒りを忘れる程、そして頑固な岩体のテンションが変わる程嬉しい事でもあったのだろうか?
悠もそんな岩体を見て不思議に思ったのか岩体に向けて口を開いた。
「なんか先生今日機嫌良くない?」
「ん?気づいたか!!知ってる奴もいると思うが今日はマグネットの発売日だろ?
嫁と一緒にやる約束してて楽しみなんだよ!!」
まるで恋する乙女のように顔を赤くさせては無邪気な笑顔を見せる筋肉の塊。
若干クラスの皆は引いていたが岩体がここまで喜ぶには理由があった。
確か岩体にはお嫁さんがいて、仕事上別々の場所で住んでいるらしいのだが、お嫁さんを物凄く愛しているらしい岩体はお嫁さんに会えないその毎日が不安や寂しさで悩んでいたらしい。
ゲームの中と言えどお嫁さんと一緒に遊んだり、愛しあえるのはよっぽど嬉しいのだろう。
無駄な筋肉とヤクザのような容姿からそんな悩みを抱えているとは考えずらいが以外と一途な岩体からすれば仕方ないのかもしれない。
クラスの皆はそんな先生を若干引きながらも他の先生とは違い、人間らしい人間として岩体の事を先生として気に入っていた。
最初のコメントを投稿しよう!