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静まり返る高校の正門。
季節的にも少し肌寒い風が二人を包んでいく。
行動の成功を確認した優は息を整えてゆっくりと脚を正門に歩む。
優は確信していた。
絶対に怒られると。
奇跡的な投球ならぬ投鞄を成功させたのは良いのだが遅刻した上に仕事を止めたという事実を前に優は怒られないという考えを頭に浮かぶ事は出来なかった。
とりあえず平然を整えて正門に挟まった鞄を手に取り、自らの手で閉じられた正門を開いていく。
「おはようございます」
「お前……」
肩に置かれる岩体の手。
置かれた瞬間身体に冷汗が噴き出てピクリと跳ねた。
「……はい?」
緊張のあまり声が少し裏返ってしまう。
なんせ岩体の怒りを見た事がない為更にその緊張は高まっていた。
「どうやったんだよ。まじ笑えるわ」
爆笑だった。
おかしい。非常におかしい。
あの岩体先生がこんな……一体どうしてしまったって言うんだ!!!
と、推理小説程の謎を残した岩体先生は「行け行け、遅れるぞ」と既に遅れているというのに笑いながら見過ごしてくれた。
解せぬ。
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