出発点

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夏も終わり秋の始め。 金木犀の匂いが漂い、秋風も吹いてきて、台風や雨の予報が、テレビのニュース番組の終盤の天気予報ですれば、ほんの少し憂鬱になってしまう今日この頃。 私は大学を卒業し、とある出版会社に就職。 配属されたのは少女漫画を取り扱うところ。 少女漫画と言えば華やかでピンクなオーラが漂っているようなイメージだけれど、私はほんの少しそのイメージに期待を寄せていたのかもしれない。 編集者は常にドタバタしていて、落ち着きがなく、少女漫画というカテゴリから想像される綺麗なものなんて行ってみればどこにもなかった。 むしろ皆無。 髪はぼさぼさで洗ってなさそうだし、一触即発なムード。 肩がぶつかれど気になんかせず、けれど些細なことや自分の行為に苛立って怒鳴る声も。 私は本当にここでやっていけるのか。 .
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