出発点

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私はとにかく唖然としていて、どなたが編集長なんかもわからないくらいなこの殺風景な光景を、どうにかしてでも嘘だと言い張りたかった。 さっきまで交差点を元気ハツラツと通っていた笑顔と希望で満ち溢れた私など、当然そこにいるはずもなく。 もう、すでに、その一室に入って数分。こっちまでげっそりと力が抜けて、今の自分の顔は大丈夫かと疑ってしまうくらい。 こけた顔になっていないかと頬に触ると、誰かと肩がぶつかった。 後ろから来た編集員さんとぶつかってしまったようで、彼も何か集計されグラフに直されたものが書かれた紙を見ていたようだった。 事故が起きてしまったのは私がぼーっとしていたことと、彼がその紙を持っていたことに原因がある。 彼は少しぶつかった相手が気になったのか、軽く振り返る。 と同時に彼の首にぶら下がったその会社の社員だということを証明する名札が、こちらにちらりと見えた。 『メランコリー文庫 編集長今井 入野』 編集長だった・・。 .
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