第1話

10/15
前へ
/15ページ
次へ
葉山第一高校は田舎の学校で、 裏には直ぐ近くと言っていいほどの距離に山がある。 たまに猿が顔を覗かせることがあった。 僕達は普通科であまり裏山とは縁がないが、 併設されている農業科では実習とかで使う事があるらしい。 そのおすそわけで、普通科に食料が配られる事がある。 周辺は田んぼが多く、授業中に農業科で買っている アヒルの声や山のトンビの鳴く声が、 ゆっくり時間が進む田園に、風が吹くように響き渡る。 在校生の三分の一以上は、 少なからずこの付近の土地と縁がある生徒が多い。 井原、秦野、品川、僕。 両親が葉山出身者や孫の代で戻って来たとか。 ずっと昔を遡ると、血がつながっているかもしれない と思う事もある。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加