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決意がまた揺らめいたが、裕子は、もういいや、と諦めに近い大きな気持ちに従い、がちゃりとチェーンロックを外し、ゆっくりと扉を押し開いた。 マンションの廊下の電気で、龍二の顔が見える。 裕子はすぐ壁にある廊下の電気のスイッチを押した。 パッと明るくなり、少し目がやられるが、しかめっ面の細目で龍二を真っ直ぐにとらえる。 男の子、と表現した方が正解か。 そんな事を考えながら、裕子は何も言わずに龍二を見つめてしまっていた。 「あの……チェンジ、ですか?」  困惑混じりのおどおどした龍二の声は、低く、重かった。 重低音が耳の奥まで達した時、なんていい声だと思った。 そういう裕子も声は低い方だ。 酒やけしたようなしゃがれ声ではないが、女にしてはハスキーだとよく言われる。 見た目からは可愛い声よりそういう声が似合っている裕子だが、龍二の見た目からの重低音は、驚いた。
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