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 龍二は可愛い顔をしていた。 二十代前半、確か二十二歳だったか、と裕子はサイトの文字を思い出す。 ホストクラブのように目の前にいる龍二はスーツ姿ではなかった。 もちろんシャツを胸元まで開けている着こなしなどではない。 前ボタン開きのシャツなど着ていないからだ。 少しぼたついた大きめのジーンズに、半袖のシャツを重ね着という服装など誰が予想できようか。 そして髪も金色や茶色でもなく、染めた事がないのだろう、真っ黒であった。 爆発もしていないその髪型は短く、清潔感がある。 こんな子を予約したか、と裕子は自分がどれだけ適当にマウスをクリックしたのか、男を選んだか呆れた。 ホストのイメージは多く予想していたというのに、別の意味で印象強い子がその時の記憶にないなんて、と失笑せざる得ない。
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