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 ボストンバッグを肩から提げる龍二は、大学生そのままという見た目だ。 裕子を見る目にカラーコンタクトは入っていないようだ。 真っ黒で、くりっとした丸い瞳がこちらを見ている。 可愛いと思った顔は、まるで幼く見えた。 「……いいえ、どうぞ」  裕子はやっとで、チェンジですか、という問いに答える。 そう言うと、玄関のすぐ脇にある冷蔵庫を開け、缶ビールを二本取り出し歩き出した。 身体を反転させ、目の端で龍二を見ると、踵でスニーカーを脱ぎながら音を立てないように玄関の扉を閉めている。 ご丁寧に鍵までかけてくれるとは、こういった研修があるのであろうか。 そっと裕子の後ろを足音を立てないように静かについてきた。 そこに、ほいっ、と缶ビールを投げる。 驚き肩を上げながらも、龍二はナイスキャッチしてみせた。 「飲めなかったらお茶とかペットボトルであるけど」 「いえ、ビール好きです。喉渇いてたんで、いただきまっす」  やっぱり笑うと余計に幼さがよく見れた。
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