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 ガラステーブルにあるノートパソコンを閉じ、裕子はソファーの上に足を乗せてから、膝を抱えて座った。 ぷしゅっ、とプルタブを開ける心地いい音を放った後、ごきゅりごきゅり、ときんきんに冷えたビールを喉に、胃に流し込む。 冷たさと弾ける炭酸が裕子の目をぐっと閉じさせた。 そうしていると、龍二はボストンバッグを肩から下ろし、ソファーの横にもたれかけるように置き、遠慮がちにソファーではなく、ソファーとガラステーブルの間の床に座った。 狭いだろうに、ソファーに座る裕子の隣が空いているというのに、遠慮しているのだろうか、まだ近づかない。 それよりも龍二は本当に喉が渇いていたのか、缶ビールのプルタブをかしゅっ、と開けると、ぐびぐびと飲みだした。 くーっ、と嬉しそうにやはり目を瞑って炭酸の弾きを喉に留めている。 そんな龍二を横目で見ながら、裕子もまた缶に口をつけた。
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