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 笑いながら言う龍二は、きっと無理に笑わそうとしているんだと思うが、裕子はくすりとも笑ってやれなかった。 ただ、龍二の顔は見た。 正直、龍二の事なんて興味がない。 「……やりにくくて、ごめんね」 「いえ、全然平気ですよ。こうやって喋ってくれるし。それにビールいただきましたし。ぶっちゃけ、ウエルカムドリンク的な感じで貰ったの初めてなんです。ちょっと嬉しいっていうか」  龍二は缶ビールを指さした。 「そうなの?」 「ええ、いきなりそのー……あーっと、すみません、あんまり他のお客さんの事喋っちゃ駄目だったんだ」 「いいよ。今のも聞き流す事にする」  裕子はぐびり、と缶ビールを喉に流し込むと立ち上がり、棚の上に置いていた煙草の箱と、喫茶店にあるような白い陶器の灰皿を手に取る。
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