1207人が本棚に入れています
本棚に追加
顔は赤くないか、変な顔は見せなかったかを手のひらや指で調べるも、わからない。
どこで気づいたかも、わからない。
龍二は、つい先ほど会ったばかりの裕子にどうしてそう言ったのか。
裕子は煙草を一吸いし、吐き出した時に察した。
大体、出張ホストを頼む女なんて、何かあるに決まっているんだ。
だが確証などどこにもない。
裕子がただ思うだけ。
それに他の女がどうだろうと、裕子は裕子だ。
比較する事なんて、ない。
だがこうやって何かの理由付けをしようとするところから、自分に何か思うところがあるからだ、とそれも裕子は分かっていた。
「話、聞きますよ」
裕子は性感コースを予約した。
なのに、龍二は話をしようと、いや、聞こうとしている。
いきなり行為に及ぶなんて事はしないんだな、と思った。
思わず、ふっ、と笑ってしまった。
綺麗に整えられた眉の下にある瞳は真っ直ぐに裕子をとらえ、裕子の小さな笑いをも飲み込む。
さっきの笑いも消えた。
最初のコメントを投稿しよう!