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最初の一吸いを終え、煙草の先端から立ち上る煙はいつの間にか消え、裕子が吐き出した煙は視界を白くし、消えていく。 それを何度か繰り返した後、龍二の声が耳に入ってきた。 「これ、マジですよね?」 「ふっ、嘘だったらどんなにいいか」  裕子は何度も読み返している。 間違ってはいないか、何度も調べた。 文章からももちろん、添付されている写真も見た。 雅文の素敵な笑顔が映っていたし、愛用のロードバイクも雅文のものだった。 そのブログには裕子との旅行の写真も載せられていた。 裕子の顔は写っていないが、手や足、服や、旅行の場所や料理などで分かった。 これは間違いなく雅文のブログだ。 それを疑ったりはもう、出来ない。 雅文自身の出来事なのだ。 これを覆す一手があるなら、教えて欲しいくらいだ。 「このブログを読むと……つまり、二股、ですよね」 「ええ、そうなるわね」
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