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挨拶をし、一緒に食事をし、と嬉しい紹介の場があった事は今でも覚えている。 雅文にも見える穏やかそうなご両親にはとても親切にしていただいた。 弟がいるという事は聞いていたが、未だに会った事はない。 それに雅文も裕子の実家に遊びに来た事がある。 裕子の実家は、今、裕子が住んでいるマンションから割りと近いところにあるという事で、挨拶を、と雅文から言い出したのには驚いた。 それと同時に嬉しかったのも憶えている。 お互いの両親にも挨拶を済ませたのは、付き合って二年もなかった頃だ。 それに一度だけではないのだ。 何度も会ったし、正直、裕子は両親を安心させれた、と自分も安心していたのだ。 勝手な思いだが、女の年齢からそれを考えてもおかしくはないだろう。 いい年こいた娘が恋人を紹介するのだ。 両親も少なからず何らか思っていたに違いない。 雅文と付き合えて、これほど嬉しかった事などない。 雅文と、そんな付き合いをしていたのだ。
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