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 裕子は聞いた。 こう思う、こう思ったばかりで、何かする、なんて今初めて思ったからだ。 いや、出張ホストを呼ぶという事はした。 ふと、裕子は思った。 雅文のブログと同じだ、と。 寂しいから、人と関わりたい、知ってほしい、共感してほしい。 話してしまった今、裕子は罵ったばかりの雅文と同じ事をしているんだと気づいた。 「悔しくないんですか?」 「悔しいに、決まってるわ」  悔しいというより、何て言ったらいいんだろうと裕子は考える。 悔しいという気持ちはもちろんある。 むかつく、悲しい、いらつく、寂しい。 色んな感情があって、全てを頭の中で呟いた時、こう、声に出た。 「……恥ずかしい」  裕子はそう声に出していた。 何でこんな事になっているのか、何も知らなかった自分、昨日知った自分、今話している自分がとてつもなく、恥ずかしくて、消えてしまいたい衝動に駆られた。 顔が熱くなるのが分かり、膝に顔を埋める。 龍二に見られたくないのだ。
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