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それに抗う。 何でもしてやろうという気さえ起きていた。 「んじゃ、契約成立って事で。俺、何でもしますんで」  龍二はそう言うと、手を握ってきた。 今更だが、龍二は出張ホストで、性感コースを頼んだから来た男だ。 ボストンバッグの中にはそういう類の道具が入っているに違いない。 女に快楽を起こし、癒しに変える卑猥な道具。 無理矢理はないと思うが、なんだか身体の距離が近くなった気がしないでもない。 自分で頼んでおいてなんだが、裕子には全くそういう気がない。 起こそうとも思わないので、顔と顔の距離が数センチになったところで、煙草の煙を思いっきり吐いてやった。 至近距離で鼻から煙を吸い込んでしまった龍二は、むせた。 「悪いけど、そんな気はないわよ。だから貴方も気を起こさないで。けど、ありがとう」  後半、裕子は言葉を小さく発した。 少しだけ照れてしまったからだ。
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